第8回書評コンテスト結果発表

「書評コンテスト」にたくさんのご応募をありがとうございました。
厳正な審査の結果、次の通り入賞者を決定いたしました。


最優秀賞(副賞3万円)

商経学部 商学科 3年 内田 裕基 さん 不幸だと思い込む人たち /『「居場所がない」人たち』

 

優秀賞(副賞2万円)

商経学部 経済学科 4年   鈴木 悠馬 さん 戦争を生き抜いた少女たちの想い /『少女たちの戦争』


奨励賞(副賞1万円)

商経学部 商学科 1年 生田 陽菜 さん 「日常」の違い /『少女たちの戦争』

国際教養学部 国際教養学科 3年 吉越 彩絵 さん 時代を超えるベストセラーのすゝめ /『学問のすゝめ』

商経学部 商学科 3年 山田 隆門 さん 戦争を知らない私たち /『少女たちの戦争』


審査員
図書館長、図書館運営委員会              

表彰式
日時:2023年12月12日(火) 12時50分~13時20分
場所:図書館1階 マルチスペースでおこないました









 

 

審査委員長 講評

商経学部 教授 合原理映

 書評コンテストは、今年、第8回を迎えました。今回も多くの優れた応募作品が集まりました。応募作品のどれを見ても、皆さんが懸命に本を読み、果敢に書評に挑んだことが分かりました。皆さんの挑戦に敬意を表すると同時に、応募に感謝の意を述べたいと思います。そして、受賞された皆さん、おめでとうございます。
 書評を書いて、皆さんどのような感想を持たれたでしょうか。これまでの文章作りとは違う「何か」に戸惑われたのではないでしょうか。書評はレポートや感想文ではありません。一冊の本を何度も読み、その内容を理解し、時に自分と照らし合わせながら批評する。さらに、まだ見ぬ誰かにその本の魅力を伝える。書評を完成させる一連の作業は、本を通じての自己の内省の作業でもあり、文章化による自己についての外部への発信の作業でもあります。書評を書き上げたという経験は、これからの本との付き合いをより一層充実したものに変化させたのではないかと思います。
 さて、今回の書評コンテストで最優秀賞を受賞したのは、『「居場所がない」人たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』を書評した内田裕基さん(商経学部3年)です。著者の説く孤独の意味を的確に捉え、自らの性向や経験に照らしながら、孤独について丁寧に説いています。導入としての「孤独」に関する描写は興味深く、文章全体の流れも見事でした。また、本書の著者は、「超ソロ社会における幸福のコミュニティ論」として「所属するコミュニティから接続するコミュニティ」を提唱していました。内田さんの書評は本書の核心がこの点にあることを十分に理解していました。著者の意図を読み取り、コミュニティとどのように関わりうるのかという点を自らの経験に絡ませながら説き、本書の価値を引き出そうとしていました。これらの点が高く評価され、最優秀賞にふさわしいとされました。
 優秀賞は『少女たちの戦争』について書評した鈴木悠馬さん(商経学部4年)です。『少女たちの戦争』は27名による31篇のエッセイ集で、この点に書評としてまとめる難しさがある本です。今回、この本には5名による応募がありましたが、いずれもその難しさから特徴の異なる書評となっていました。中でも鈴木さんの書評は、全体を3つのグループに分けてエッセイを整理しています。「出会いと別れによる感動」、「貴重な体験をした奇跡的な思い出」、「生きた自覚がない絶望」とグループ分けをすることによって、戦争が辛く苦しいものであるというだけではなく、さまざまな思いを抱きながら少女たちが生きた時代でもあったということを読者により分かりやすく説明することに成功しています。
 奨励賞を受賞されたのは、『少女たちの戦争』を書評した生田陽菜さん(商経学部1年)と山田隆門さん(商経学部3年)、『学問のすゝめ』の吉越彩絵さん(国際教養学部3年)です。『少女たちの戦争』については優秀賞を含め三作品が受賞となりました。生田さんは戦争を非日常とせず、日常として捉えるという本書の意図を理解し、一般論として戦争を語るのではなく、自分ごとのように考えることの困難さにも向き合っているという点が評価されています。山田さんは、本書の中の3篇を取り上げ、本全体の特徴を読者に伝えようという意欲作でした。取り上げられた3篇はご自身にとって印象に残ったものから選ばれたということでしたが、それぞれのエッセイの枠を超えて、本書全体の魅力を表現していました。そして、吉越さんが「時代を超えるベストセラーのすゝめ」と題して書評した『学問のすゝめ』は1872年に初版が発行されて以来、現代に残る名著の一冊といえる作品です。それだけに数多くの書評もすでに存在しているなかでの挑戦でした。手際の良い本書の紹介に続き、今日的意義を明快に論じている点が評価されました。
 今回、以上5名が受賞者となります。皆さんにとって書評を書き上げたことが新たな本との付き合いの始まりとなり、新たな学びのきっかけとなることを願っています。図書館は、普段、本を借り、調べものや自習をするといった知を吸収する場としての役割を担っていますが、同時に皆さんの知を発信する場でもありたいと考えています。
 ぜひ来年度も応募してください。さらに成長した皆さんの書評をお待ちしています。

 

お問い合わせ
図書館コントロールデスク
E-Mail: lib@cuc.ac.jp

第8回 書評コンテスト応募要項

2023年9月1日より、第8回書評コンテストを開催します。
課題図書を1冊選び、書評を書いてぜひご応募ください。
最優秀賞・優秀賞・奨励賞に選ばれた方には賞金を贈呈します。
更に、ご応募いただいた皆さんに、もれなく参加賞あり!
応募期間中、図書館では課題図書を展示しています。ぜひ手に取ってご覧ください。

応募期間】2023年9月1日(金)~10月27日(金10月30日(月)まで延長!

【応募対象】千葉商科大学に所属する学部生

 書評コンテストについての詳細は下記をご覧ください。

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