第9回 書評コンテスト結果発表

「書評コンテスト」にたくさんのご応募をありがとうございました。
厳正な審査の結果、次の通り入賞者を決定いたしました。


最優秀賞(副賞3万円)

該当作品なし


優秀賞(副賞2万円)

商経学部 商学科 4年   山田 隆門 さん 少子化にまつわる誤解 /『未婚と少子化』


奨励賞(副賞1万円)

商経学部 商学科 3年 竹之下 友和 さん  「考える葦」としての日本人を取り戻すために /『思考停止という病理』

商経学部 商学科 2年 生田 陽菜 さん 単純化の落とし穴と問題同士のつながり /『未婚と少子化』

国際教養学部 国際教養学科 4年 吉越 彩絵 さん 上昇志向の提示 /『思考停止という病理』


審査員
図書館長、図書館運営委員会              

表彰式
日時:2024年12月12日(木) 12時50分~13時20分
場所:図書館1階 マルチスペースでおこないました









 

 

審査委員長 講評

商経学部 教授 合原理映

 この度、書評コンテストは第9回を迎えました。課題図書としては近年出版された書籍で学生時代に読んで欲しい書籍から5冊、古典から1冊を挙げました。これに対して今回、10作品の応募がありましたが、残念ながら最優秀賞は出ませんでした。しかしいずれの作品も、応募者の皆さんが課題図書に真剣に向き合い執筆した努力の形跡が至る所に見られる、読み応えのある書評ばかりでした。書評コンテストに応募された皆さんの努力に敬意を表したいと思います。また、優秀賞、奨励賞を受賞された皆さん、誠におめでとうございます。  
 さて、書評とはなんでしょうか。これまで、皆さんは多くの本を読み、時に感想文をまとめたことがあると思います。しかし、書評を書く作業は、これまでのこういった経験とは異なるものです。一冊の本を読み、筆者が何を言おうとしているのかを読み解くことからはじまり、次に自らの経験や考えに照らして批評を行っていくものです。この一連の作業を行うために求められるのは、単なる読書ではなく、どのようにまとめようかと思案しながら、一冊の本を何度も読み返すということです。また読書感想文であれば、一冊の本のなかの印象に残った箇所を捉えてその書籍を評価し、その感想や印象をまとめることもありますが、書評は違います。書評は本の内容を断片的に捉えて一部だけに批評を加えるのではありません。本全体から筆者が主張することを捉えていかなければなりません。ここにも書評を書く難しさがあるのではないでしょうか。  
 受賞者の皆さんの作品はこのような書評を書く難しさを見事に乗り越え、その本の魅力を余すところなく伝えるものでした。今回の受賞作品は、筒井淳也『未婚と少子化』(優秀賞、奨励賞)、榎本博明『思考停止という病理』(奨励賞2名)と、偶然にも2冊の本に集まっています。
 優秀賞を受賞した山田隆門さん(商経学部4年)は『未婚と少子化』について書評をまとめています。
 『未婚と少子化』は、日本社会の抱える少子化問題について、データなどを用いながらこれまでの対策とは異なる新たな視座を与える内容です。山田さんは、本書全体を明快にわかりやすくまとめただけではなく、本書の核心を引き出そうとする姿勢について高く評価されました。また、表現力にも優れており、これから読もうとする者に本書の魅力を伝えることができる書評でした。
 同じく『未婚と少子化』で奨励賞を受賞したのは生田陽奈さん(商経学部2年)です。生田さんは本書の趣旨を的確にとらえ、自分自身の意見を踏まえた結末に持っていく書評を書き上げました。身の回りの例などを挙げることによって、本書をわかりやすく解説することに成功しています。
 『思考停止という病理』で奨励賞を受賞したのは竹之下友和さん(商経学部3年)と吉越彩絵さん(国際教養学部4年)です。本書は、疑問を持たず、考えることを忘れた思考停止の状態からの脱却の必要性について、社会のさまざまな側面から説いている一冊です。竹之下さんは本書の内容を十分に理解し、その内容をわかりやすく伝えることができています。また、書評のタイトルとして「『考える葦』としての日本人を取り戻すために」をつけ、書評の結末も「考える葦」に結びつけた点も印象的でした。
 同じく『思考停止という病理』で奨励賞を受賞した吉越さんは、本書の内容を的確にまとめ、自らの経験や身近な問題に寄せて十分に論じています。また、書評の一段落目の書き出しはコンパクトながらも読者を惹きつける文章になっています。                                                                          
 以上が受賞作への講評となります。書評を書くという技術は書評という分野だけにとどまらず、日々の大学での講義や社会人として働く環境でも応用できるものであると思います。書評コンテストが皆さんにとってより充実した本との関わり合い方の始まるきっかけとなることに期待すると同時に、新たな能力が開花する一助となることを願っています。

第9回 書評コンテスト応募要項

2024年9月2日より、第9回書評コンテストを開催します。
課題図書を1冊選び、書評を書いてぜひご応募ください。
最優秀賞・優秀賞・奨励賞に選ばれた方には賞金を贈呈します。
更に、ご応募いただいた皆さんに、もれなく参加賞あり!
応募期間中、図書館では課題図書を展示しています。ぜひ手に取ってご覧ください。

応募期間】2024年9月2日(月)~10月28日(月)必着

【応募対象】千葉商科大学に所属する学部生

 書評コンテストについての詳細は下記をご覧ください。

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