貴重図書

千葉商科大学付属図書館では、トマス・ホッブス『リヴァイアサン』やアダム・スミス『国富論』の初版本をはじめとした、多数の貴重図書を収蔵しています。 またコレクションとして、世界的経済学者ロイ・ハロッドが残した書簡を中心とするロイ・ハロッド文書や、経済学者バート・ホゼリッツの蔵書を収集したバート・ホゼリッツ文庫があります。
付属図書館では、定期的に貴重図書の公開を行っています。詳しくは、ホームページ等でお知らせします。

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ホッブズ『リヴァイアサン』Head版  (1651年)

Thomas Hobbs "Leviathan, Or the Matter, Forme, and Power of a Common-Wealth, Ecclesiastical and Civill" 

トマス・ホッブズ(1588-1679年)は、ピューリタン革命時代のイギリスの政治学者、社会哲学者。本書では、生きる権利は各人の不可侵の自然権であり、自然状態では万人対万人の戦争となって自然権そのものを脅かすとした。それを避けるために各人が契約を結んで万人に優越する主権を設け、この絶対主権によって生存権を保証すべきであると説いている。政治思想史上最高の古典とされる。当館では、真正版(Head版)と偽版の一つ(Ornaments版)を所蔵している。



スミス『国富論』(1776年)

Adam Smith “An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations” 

『国富論』(『諸国民の富』とも呼ばれる)は、1776年にロンドンで出版された。哲学者、社会学者、経済学者としても知られる著者のアダム・スミス(1723-1790年)は本書で、富の源泉を労働力に求め重商主義を批判するとともに、経済が需要と供給の秩序に基づくもので、そこに「見えざる手」が働くことを明らかにした。古典派経済学の誕生といわれ、最大級の古典とされる。  当館では『国富論』の初版本(2分冊)の他、スミス死後に改版された第6版(1791年/3分冊)・第10版(1802年/3分冊)も所蔵している。



タリエンテ『商業算術』(1560年代)

Girolamo and Giovanni Antonio Tagliente “Libro de Abbaco” 

『商業算術』は1515年に初版が出版され、度々改版されている。商人に対して複式簿記を解説する目的で書かれ、それまでは算盤という道具を使用して計算をしていたが、この本では掛算などの計算の仕方を図を用いて示している。安価に販売されていたことや本の大きさ(高さ16㎝)から、多くの商人が手元に置いて重宝していたのではないかと考えられる。  当館所蔵の『商業算術』は出版社の活動期間から、1560年代にミラノで出版されたものと推測される。当館所蔵資料の中で、最古の資料である。



グロティウス『戦争と平和の法』第2版  (1631年)

Hugo Grotius “De jure belli ac pacis libri tres” 

『戦争と平和の法』は、1625年にパリで初版が出版された。フーゴー・グロティウス(1583-1645年)は生涯にわたり本書の改訂作業を続け、1631年・1632年・1642年・1646年と改訂版を出版した。本学所蔵の本書は、1631年版で第2版にあたる。この版は、グロティウスが亡命先のパリからオランダへと戻った年に、オランダの印刷所から出版された。  『戦争と平和の法』は17-18世紀にかけて幅広い地域へ影響を与えた。特にオランダやドイツ、スウェーデンの大学では自然法の教科書として用いられた。




■このほかの主な貴重図書■

イルソン『実用算術』(1692年)
Claude Irson "Arithmetique pratique et raisonnée" 
1674年に出版された『実用算術』の詳細版として1692年に出版されたものを、当館では所蔵している。 著者のクロード・イルソン(1655-1690年頃に活動)はフランス・ブルゴーニュの出身で、ルイ14世により今日の公認会計士に相当する称号を受けた。「商事王令」(1673年)制定後、イルソンは王令第3章について諮問を受け、その答申として商人の会計は複式簿記によることを推奨した。 『実用算術』は様々な業種に有用な勘定科目を扱うための数字の使い方を示したものである。 1695年に要約版が出され数多く現存するが、1692年版は世界的にみても所蔵している機関が少ない。
モンテージ『簡単な借方・貸方』第3版 (1690年)
Stephen Monteage "Debtor and Creditor Made Easie" 
『簡単な借方・貸方』は初版が1675年に出版された(当館所蔵は第3版、1690年)。 スティーヴン・モンテージ(1623頃受洗-1687年)はイギリスの職業会計士の先駆者で、商人以外にも簿記会計を広めるべくこの本を著した。表題紙には「若者および若い学者、農夫、ジェントルマン、小売業者、職人、商人に向けて」との一文がある。それまで出版されていた会計に係る本は裕福な商人向けであり、そうした商人は帳簿をつけていたが一般の人々にはなじみがないものであった。この本では用語の解説から始まり、帳簿の数を仕訳日記帳と元帳の2冊に減らすことを示している。
デフォー『イギリス通商案』(1728年)
Daniel Defoe "A Plan of the English Commerce" 
『ロビンソン・クルーソー』の作者として有名なダニエル・デフォー(1660-1731年)は、商工業を自営する一方、ジャーナリスト、作家として活躍した初期資本主義の代表的イデオローグであった。この『イギリス通商案』は、当時のイギリスの国民経済の実情を踏まえ、イギリスの生産力はすでにオランダ、フランスを超しているから外国貿易は保護主義から脱却すべきであると語っている。
リカード『経済学および課税の原理』第2版 (1819年)
David Ricardo "On the Principles of Political Economy, and Taxation" 
イギリス古典派経済学の完成者デヴィッド・リカード(1772-1823年)は株式仲買人の子として生まれ、のち父の跡をついで証券取引業者として成功した。地金論争がきっかけで経済学者としてデビュー、1819年からは業務を退き、下院議員として政界でも活躍した。この『経済学および課税の原理』は彼の主著であり、古典派経済学のピークというべき古典である。当館所蔵は第2版であるが、初版は1817年に出版された。
マルサス『経済学原理』(1820年)
Thomas Robert Malthus ”Principles of Political Economy” 
スミスを継ぎ、リカードと並ぶイギリス古典派経済学を代表する経済学者トマス・ロバート・マルサス(1766-1834年)は、大学を卒業後、しばらく副牧師の職にあったが、イギリス東インド会社が東インド大学を設立したときに教授に就任、在職中没した。『人口論』の著者として有名である。『経済学原理』はリカードの『経済学および課税の原理』の影に隠れていたが、近年ケインズなどによって再評価が行われはじめた。当館では初版の他、第2版(1836年)も所蔵している。
貴重図書公開

「国際法の父」と称されるグロティウスの著した『戦争と平和の法』は、
17~18世紀にかけて幅広い地域へ影響を与え、当時の大学では自然法の
教科書として用いられることもありました。

『戦争と平和の法』は、今年で出版されて400年となります。

これを機に、当館で所蔵する『戦争と平和の法』第2版(1631年)と
英訳本(1682年)のほか、ホッブズ『リヴァイアサン』(Head版、初版、1651年)を展示いたします。

公開期間中には、本学教員によるトークイベントも開催します。

 

 貴重図書公開 
11月1日(土)~11月16日(日)

※開館時間については、当館Webサイトの開館カレンダーをご確認ください

 

 教員トークイベント 「国際法の父・グロティウスの思想に触れて」 
11月13日(木)12時45分~13時25分

開催場所はいずれも図書館1階マルチスペースです。
※期間中は当館ライブラリーカードをお持ちでない一般の方も、見学していただけます。

 

過去の貴重図書公開
2024年度 タリエンテ『商業算術』(1560年代)
2023年度 スミス『国富論』(1776年)

貴重図書・資料の利用について

・付属図書館が所蔵する貴重図書・資料を利用する際は、図書館長の許諾が必要です。
・「千葉商科大学付属図書館貴重図書取扱要領」をご確認の上、事前に申請書を提出してください。
・資料の保存状態等によっては原本の閲覧・複製等をお断りする場合がありますので、予めご了承ください。
・対象資料は、蔵書検索(OPAC)上の配架場所が「貴重図書室」「Harrod」となっている資料です。

 【各種申請書】
貴重図書・資料利用願(pdf) / Word版(docx)
貴重図書・資料撮影許可願(pdf) / Word版(docx)
ハロッド文書利用願(pdf) / Word版(docx)